狩人

「狩人」第一話「」

目が痛い。
目やにが張り付いていて上手く目が開かない。
薄く目を開けたところで意識を取り戻してきた。
そうだ。そうだった。確か俺は殺されたはず。と、なるとここはあの世か？

「気づきましたか？」
鮮やかな声が耳元に響いた。
目が完全に覚めるまではまだかかりそうだが声は出せそうだ。

「はい、ここは？」
声にもならないようなかすれ声だったが何とか聞き取ってくれたみたいだ。
「ここはカニョール森、戦地です。」
ぼやけていた視界がはっきりとしてきた。
ほんのりと青い目に黒い髪…
なるほど、誰だか分からない。
ただ、女ということは分かるな。
「貴方は能力者ですか？」

能力者…嫌な響きだ。こんな能力を持ってしまったばっかりにさんざんな目にあった。
「はい…くその役にもたたないですけど。」
俺の能力は煙を操るという物だ。
だが、そんなもんを持っていったて
便利なものではない。
むしろ邪魔にしかならない。
このくそみたいな能力のせいで一体…
どれだけの憎悪を…
「私の能力は煙を操る能力です。」
女が眉をひそめて問う。
「ほう…異種系能力ですか。」
異種系能力…？なんだそれは？うまいのか？
「異種系能力とは、一体？」
女が驚いたように目を見開いて俺を見つめてきた。
「異種系能力を知らないとは、変わってますね。
いいですか？この世界には大体魔法を使えるものが能力者と言いますよね？
その中にでも少し変わった能力…
基礎能力からずれたものを言います。」
基礎能力…？あぁ、あれか。
炎、水、草、闇、光の魔具を使っての能力を基礎能力というのだった…よな？
確かに俺の能力は異種系能力なのか。