オオカミ御曹司に捕獲されました
「ところで、さっき古ダヌキとすれ違ったんだけど、梨花は会わなかった?」

「古ダヌキ?」

杉本君の言葉の意味を考えず、小首を傾げる。

「うちの社長だよ」

杉本君が真っ黒な笑顔を見せる。

父親を古ダヌキって……そんな事言っていいの?

「……実は社長もおにぎりを召し上がったんですよ」

私はさっき社長といた事を正直に杉本君に伝えた。

「へえ、それはまた余計な真似を。あのエセ紳士め」

杉本君がダークな目で悪態をつく。

こわっ‼

杉本君の顔を見て、ブルッと身体が震えた。

社長に対して何を怒っているのだろう。

綺麗な顔の人が怒ると凄みが増す。

杉本君、お願いです。

私のいないところで怒って下さい。
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