オオカミ御曹司に捕獲されました
「私が調べたところでは、父親はいません。いえ……わからないって言った方がいいでしょうかね」

桜井さんの返答の歯切れが悪い。

いや、言葉を選んでるのか。

「……五十嵐梨花は、非嫡出子っていう事ですね?」

「はい」

俺の問いに桜井さんは静かに頷いた。

梨花の家庭は結構複雑なんだな。

彼女は自分の父親の事を知っているのだろうか?

ふとそんな事を考えると、親父が意外な言葉を投げた。

「学、お前、あの子の出生を知っても興味を失わずにいられるのか?」

親父の質問に思わずクスッと笑みが溢れた。

「何がおかしいんだ?」

親父が眉をしかめる。

「おかしいんじゃなくて、嬉しいんですよ」
< 132 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop