オオカミ御曹司に捕獲されました
俺の返答に親父はじっと俺を見据えた。

「わけがわからない」

「自分の親がまともだったことに安堵してるんです。馬鹿な親なら“そんな娘は止めておけ”って言いますからね」

「私はそんな狭量な親じゃない」

親父は面白そうに笑う。

「そのようですね。安心して下さい。息子の俺も心の狭い人間ではありませんよ。出生なんてどうでもいい。大事なのは本人ですから」

「それを聞いて私も安心した。お前が馬鹿息子だったら、アフリカの僻地にでも飛ばそうと思ったよ」

親父がニヤリとしながらやり返す。

「それは怖いですね。僻地に飛ばされないように気をつけますよ。社長も今後は余計な真似はしないで下さい」
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