オオカミ御曹司に捕獲されました
代われるものなら代わりたい。

右手怪我してたら、仕事どころか、日常生活にまで支障が出る。

「梨花に怪我がなくて本当に良かったよ」

はい、そうです。

杉本君のお陰で、私は膝にかすり傷が出来たくらいですみました。

「ごめんね、ごめんね。何か資料とか報告書の下請けは全部私はするから」

杉本君に向かって手を合わせ、ただただ謝る。

「まあ、それは課のみんなで分担するからいいとして……。右手がこれだと日常生活が不便でね。ネクタイ締めるのも大変かなあ」

テーピングした手を私に見せながら杉本君がニヤリ。

ん?

この空気、なんかとてつもなく嫌な予感がする。
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