オオカミ御曹司に捕獲されました
「前に梨花言ったよね?何でもするって」

げげ!

確かに言いました。

首になりたくなかったから……。

でも……ここでそのカード使うの?

「怪我が治る間、うちに住み込みでお世話してくれない?」

杉本君の言葉に、私の顔から血の気が引いていく。

「す、住み込み?」

狼狽えた私は素っ頓狂な声を上げた。

杉本君と同居するくらいなら、自分が怪我した方がまだよかったかもしれない。

彼は期待の眼差しで私の答えを待つ。

うっ、狡いよ、杉本君。

彼に怪我をさせて申し訳ない気持ちで一杯なのに、面と向かって彼にノーという勇気はない。

「……謹んでやらせて頂きます」
< 155 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop