オオカミ御曹司に捕獲されました

俺も社内での梨花への嫌がらせを警戒して妹の詩織を梨花の側においたのだが、今日は詩織がたまたまいなかった時に隙を突かれた。

今さら梨花に関心のないフリをしても無駄だろうし、それならば四六時中俺の側において彼女を守る方が安心だ。

『ええ、肝に銘じますよ』

自嘲気味に呟いて、俺も社長室を退出した。

もう絶対に梨花に手出しはさせない。


☆

佐藤も許せないが、一番許せなかったのは読みが甘かった自分だ。

怪我はなかったものの、梨花も相当怖かったのだろう。

仕事中彼女の様子を見ていたが、いつもより元気がなかったし、顔色も悪かった。

ひとりで家に帰らせない方がいいと思ったんだ。