オオカミ御曹司に捕獲されました
梨花に俺の家に住み込みで世話を強引に頼んだのは、彼女に近づく目的もあったが、一番の理由は彼女の事が心配だったから。

江口さんが住み込みの事を知ったら、また何か言うかもしれないな。

上司である江口さんには俺が怪我をした経緯を説明したが、彼は終始何か言いたげに渋い顔をしていた。

何故そんなに梨花の事を気にかけるのか?

梨花の寝顔をじっと眺めながらそんな事を考えていると、突然ピンポーンとインターフォンが鳴った。

誰だ?

梨花が寝ているので慌ててインターフォンに出る。

声を潜めて応対すると、鳴らした相手は妹だった。

「お兄様、怪我の具合はいかがですの?」

今、結構遅い時間だと思うが、何しに来たんだ?

顔をしかめながらチラリとリビングの壁時計に目をやると、午後十一時過ぎ。
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