オオカミ御曹司に捕獲されました
杉本君が私を注意するが、私は構わず上り続け、ヒールの靴でバランスを崩しよろけてしまう。

「きゃあ!」

必死に階段から落ちないように身体をバタバタさせていると、杉本君の力強い手が私の手をつかんで抱き寄せられた。

「何やってんの?ハラハラさせないでよ」

フーッと息を吐いて安堵する杉本君。

一気に素の自分に戻り、ドキドキする私。

どうしよう?

何言っていいかわからない。

「梨花、ちゃんと聞いてる?」

杉本君は身を屈めて私の顎をクイッと持ち上げる。

彼と目が合うと余計に何も言えなくなった。

「杉本君……」

「それ違う。この前寝てる時、『学』って呼んでくれたよね?ほら、呼んでみて」

この前って……朝寝てた時?
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