オオカミ御曹司に捕獲されました
しばらく杉本さんの背中を擦って彼女が落ち着くと、側にあった自販機でミネラルウォーターを買い、キャップを外して彼女に渡した。

「ほら、これ飲んで」

憔悴した顔の杉本さんは、無言でミネラルウォーターを受け取り、口に含む。

「どうだ?吐いて少しは楽になったか」

「……はい。お見苦しいところをお見せしてしまって……」

「気にするな」

タクシーを呼んで杉本さんを乗せるが、彼女はぐったりした様子で俺に寄りかかった。

「杉本さん、自宅はどこ?」

「め……め……れす」

「め?」

目黒か目白か?

杉本さんに聞き返すが、彼女は「う……ん」と言って目を閉じる。

「杉本さん?」
< 333 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop