オオカミ御曹司に捕獲されました
「ああ」

自分でも何でこんな約束をしまったのかわからない。

ただ、こうやって杉本さんと一緒に食卓を囲むのもいいって思えた。

彼女と一緒に食べると、いつものつまらない食事も美味しく感じる。

「江口課長、私も頑張って料理を覚えますわ」

張り切る杉本さんに、俺は優しく言った。

「俺が教えてやるから、少しずつゆっくり覚えていけばいい。だが、仕事以外で『江口課長』はないな」

「では、江口さん?」

杉本さんの答えに俺は首を横に振った。

「却下。俺の下の名前知ってるな?」

口角を上げて意地悪く言えば、杉本さんは躊躇いがちに俺の下の名前を口にする。

「……涼介さん」

「それでいい。詩織」
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