オオカミ御曹司に捕獲されました
ひんやりした空気が肌に触れて、鳥肌立ってきたんですけど……。

周りの人も私達を見て呆気に取られてるよ。

ああ~、この視線に耐えられない。

どうやって逃げればいいの?

でも……ここで逃げたら場の雰囲気が不味くなって、私の立場がますます悪くなる。

「豆腐とかなら食べられる?」

杉本君はそんな私の心中を知ってか知らずか、自分の小鉢の豆腐を私の口まで運ぶ。

「はい、口開けて」

私が口を開けるのを杉本君は笑顔で待っている。

「……杉本君、いいよ。本当に大丈夫だから」

ブンブンと頭を振ると、杉本君はハーッと嘆息した。

「何で遠慮するかな。俺はこんなに梨花を心配してるのに」

……この闇色の目。
< 81 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop