オオカミ御曹司に捕獲されました
私は咄嗟に笑顔を作った。

……駄目だ、悪寒がする。

杉本君がいると苦手なのが顔にまで出てしまう。

もう隠しきれない。

「……うどんそんなに食べてないね。食欲ないの?熱は?」

杉本君が私の顔を覗き込み、私のおでこに自分の額をコツンと当てる。

心臓がドクンと大きな音を立てた。

うわっ、公衆の面前で何をする‼

心臓発作で死んだらどうするのよ~。

ひょっとして杉本君、それ狙ってる?

誰にも罪に問われないし……。

当の本人は平然としてるけど、完全犯罪を企んでませんか?

「う~ん、熱はないみたいだね。冷たいくらいだ」

……そ、それは、杉本君のせいだよ。
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