オオカミ御曹司に捕獲されました

「胆に銘じておきますよ。でも、江口さんがそんなに部下思いとは思いませんでした」

「部下思いか。俺は単に出世の邪魔はされたくないだけだ」

「まあ、その方が江口さんらしいですけどね」

江口さんと目を合わせお互いニヤリと口角を上げる。

やはり彼は食えない男だ。

「江口さんの邪魔はしませんよ。うちの有能な幹部に転職されては困りますからね」

「今から経営の事を考えてるのか？怖い奴だな」

江口さんがフッと微笑する。

「うちの会社程大きくなるとひとりで経営は出来ませんからね。ブレーンが必要なんですよ。江口さんみたいなね」

「それは光栄だが、買い被り過ぎだ」

「謙遜なんて江口さんらしくないですね。とにかく、梨花の事は遊びじゃありません。本気でアプローチしてるだけなのでご心配なく」