Rain Days

その日、あたしは父の夢を見た。

あたしが知って居る父は、優しくて笑顔が多い人だった。

そんな父が、あたしは大好きだった。

それは、今も変わらない。

だけど、あたしの中で変わったことがある。

父の背を見て育ったあたしは、父のような刑事になるのが夢だった。

だけど、その夢は消えた。

父が死んだ、あの日に全て消え去った。

父はあたしの誇りで、憧れだった。

だからこそ、きっと忘れることはない。

どうしても、あの事件が過去になってくれない。

今でもパトカーのサイレンの音を聞くと、浮かぶあの時の光景。

そして一瞬にして、あたしのことを過去へと引きずり込む。

思い出になんて、残したくない。

綺麗さっぱり、全てなかったことにできたら、どんなに良いだろう。