Rain Days
「あおい。遅刻しないで学校行くのよ」


家を出ようとしているお母さんが、まだ布団の中に居るあたしに声を掛ける。


「行ってらっしゃい」


布団の中から出ずに、お母さんのことを見送った。

未だになれない自分の部屋に、ため息が飲み込まれる。

この家に越してきて、約2週間。

17年も住んで来た街を離れ、母親の実家へ越してきた。

高校3年にして、転校ってどうなのだろう。

あと1年で卒業だというのに・・・

内心はそう思っていたが、その胸の内を誰にも話せなかった。

17年もあっちに住んでいたら、もちろん友達もそれなりに居たわけで・・・

残り1年の高校生活。

そこには、夢なんて更々ない。

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