Rain Days
倉庫を飛び出し、ただ我武者羅に走り続けた。

せっかく体調が良くなったのに、傘も差さずに走っていたら、またぶり返しそうだ。

それでも、立ち止まりたくはなかった。

なかったのに・・・


__ギュッ__


誰かに手首を掴まれ、次の歩みを止められる。

誰?

そう思い、振り返った先に居た彼に息を飲む。

自然と、視線は掴まれた腕へと向かう。

なんで?

どうして、まだ付けてるの?

それは10年以上も前に、あたしがあおにあげたモノ。

碧色のブレスレット。

世界に1つだけの、手作りのブレスレット。





『「あお、ちゃん」』


似ても似つかぬ彼が、昔と同じように呼ぶ。

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