Rain Days
「じゃあ」


そう言い、自宅へ入ろうとしたあたしの腕を掴む。


「お願いだから、帰らないでよ」


さっきとは違い、弱々しく言い捨てる。

これは、ヒデの手段なのかもしれない。

それでも、振り払う事が出来ない。

脳裏に、あの時にヒデの姿が浮かんだから。


「言いたくないなら、答えなくても良い」


あたしの言葉に、ヒデは顔を上げる。


「あの日、ヒデは止めて欲しかった?」


あの日、あたしは「行けば良いじゃん」と言った。

そのせいで、ヒデの中の何かが諦めに変わったような気がした。

だから、もしまた同じようなことが在った時。

ヒデが欲しい言葉を、あたしは掛けてあげたい。

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