今夜、あなたの胸で……《完全版》
これだけ言いたいことを言ったけれど、胸の中のもやもやは全く取れた気がしない。


それに、その答えを聞きたくない。


だから今度はパッと立ち上がって、ソファーの上に置いてあるバッグとコートを手にして、そのまま早足で玄関の方へ歩いていった。



「ちょっ! 彩未! どこにいくんだよっ!」



琉生はそう言いながらすぐに追いかけてきたけれど、



「ごめん。わたしまだ、受け入れられないから。もし話があるなら、また今度にして」



そう言ってドアノブに手をかけたけれど、



「待てって!」



琉生は耳を塞ぎたくなるほどの大きな声でそう言って、また後ろからぎゅっと抱き締めてきた。



「やっ! 琉生、離して!」


「やだ。離さねえ」



その言葉にまた、どきんっと胸が高鳴る。


こんな風にされると、わたしは琉生のことがめちゃくちゃ好きなんだと思い知らされる。
< 40 / 48 >

この作品をシェア

pagetop