SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

一樹は美空を見つめて考え込む。

そのまましばらく沈黙し……

バチッと俺と視線を合わせた。


「……もしかして、」

「 ん? なんだ?」

ためらいの後、一樹は続ける。


「 D.S.Pより外へ出た時だけ、しるしが現れるという事を考えると……。 美空のいるべき場所はここではないと、D.S.Pではその役目がないと、言っているのかもしれません 」


「……な、に?」


「 断定は出来ませんが、おそらくしるしは、一般社会の中で起こる犯罪に対して力を使えと示しているのではないでしょうか 」


「 一般社会の中で起こる、犯罪だあ?」


俺は動揺した。
黒木も口をあんぐり開けて固まっている。


「……おいおい。こんな末恐ろしい力、一般社会で自由に使われてみろ。上の連中が黙っちゃいねえぞ 」


「イツキい! ミクをD.S.Pから追い出すってかあ⁉︎ こんな危なっかしいやつを⁉︎ 出来る訳ねーぞコノヤロ~!」


黒木が涙目になって美空を抱きしめる。


「 ですから、 」

一樹がはあ~っと頭に手を当てて立ち上がる。
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