SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

◇お盆ですね

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“バチ——ンッ!”


『 キャアッ!』


赤い爪の女がケムリのように消える。

相変わらず、あたしは悪霊たちを追っ払う日々を過ごしていた。


……もう。


なんで次から次へと襲ってくるのか、

なんですぐに取り殺そうとするのか、


「訳がわからない」


……ハァ。


時刻は午前4時。

すっかり目が覚めたあたしは、寝室を出てリビングへと移動する。

すると、まだ暗い部屋の中で光を放つ、あたしの電話のやつが目に入った。


メールが1件、着信が1件……


どっちも湧人からだった。


「……?」


取り合えずメールを見てみる。

そこには一言 “ 元気?” の文字。

続いて、かなり操作に手間取りながら、留守番電話を聞いてみる。



『……もしもし、みく? 元気に、してる……? ……ごめん、特に用はないんだけどさ、パッタリ来なくなるから……どうしたんだろうって……思って……。それだけ。じゃあ……』



メールも電話も、昨日の夜10時頃のものだ。


……全然気づかなかった。


「……う~ん?」


電話を握りしめながら、あたしはしばらく考える。


……気になる……


湧人の声のトーン、ゆっくりな喋り、変な間とか……


なんか心がザワザワする。


……よし、


あたしは急いで服を着替える。

一樹にもらったバッグを持って、湧人の家へと走った……
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