SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


"前のは使えない"


その言葉の意味にピンときて、ちょっとだけ背筋が寒くなる。

でも、伯耆坊が付けてくれた名前なら、きっと強く生きられる、そんな気がした。


「……んっと、」


伯耆坊は自分が考えると言ったわりに、一樹とヒソヒソなにか相談しながら頭を悩ませる。

そして、赤い目をキラキラとさせてあたしに言った。


「 決めた! おまえは今日から天使美空! この大仙の空のように清らかで美しい、天の使いの女の子! 天使 美空(あまつか みく)だ!!」


————ドクンッ!


その瞬間、心臓がはねて風が吹き、木々たちが一斉にザワザワとなった。


「……あまつか、みく……」


……あたしの、新しい名前……


「 良い、名前だと思いますよ 」


一樹がメガネをクッと押さえて微笑んだ。
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