SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「……っ……馬鹿な! いくら鬼頭会といえど、簡単にウチがやられる訳がないだろう!

三大勢力と言われてはいるが、現状はウチと大熊の二大勢力……

今や鬼頭会は勢いを無くし、既に低迷しているはず……!」


「……ブハハハハハハッ!!」


玉ちゃんの低い笑いが響き渡った。


「低迷しているだと? それはちと違うなあ……」


「……⁉︎」


「あえて息を潜めておったのだッ! 全ては更なる高みを目指す鬼頭会の策略よッ!!」


「……な、に……」


「若造が…… 何も知らんのだなあ。 低迷しているのなら、何故貴様の親父や大熊の奴等がワシらを潰しに来ないのだ?」


「……ッ……」


「それは奴等が鬼頭会の真の姿を知っているからだ! 鮮烈に頭に刷り込まれておるのだ! かつては一大統制であった鬼頭会のその力を! その恐ろしさをなあッ!」


「……っ……なんだとっ!」


「怖いもの知らずとはよく言ったものよ。 フン、あのような妙技と小道具で……この間はワシも随分なめられたものだ」


「……ッ……」


「手柄をあげる為なら何でもする、道理も分からぬ若造がッ!! その性根、今すぐここで叩き直してくれるわッ!!」


————ガアンッ!!


玉ちゃんが次男坊をぶん殴る。

それを皮切りに、鬼頭会と山川組、

ヤクザの乱闘が始まった……



「おとなしくしてりゃあテメエッ!」

「ナメくさりやがってチクショーが!」


さっきは圧倒していた山川組が、今は完全に力で押されている。

気功男と電磁波男もすぐに拘束されてしまった。


「おい! 覇鬼はどっちだ!」


「……こっちです」


「嘘つくな! てめえが覇鬼だろうがッ!」


"ガン! バキ! ドゴッ!"


覇鬼にも容赦なく手が下される。

まるでうっぷんを晴らすかのように、鬼頭会は攻撃した。
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