SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「……あ〜あ、またかよ」
「何人目だ? 総長のストーカー 」
「しかも一人でココに来るなんて……」


「……?」


「怖いもの知らずな女だな」
「全国ナンバー1の扇龍のアジトに」
「よくも涼しい顔で入れたもんだ」


「……?」


「おまえなぁ、自分の容姿に自信あんのは分かっけど……」

「だからって、あのお方に簡単に会えるハズがねえだろーが!」


「……どうして?」


「総長はなぁ、スゲ〜お人なんだ!」

「一般人のおまえが口を聞くのも見るのも恐れ多い!」

「そもそもオレたちでさえ、まだろくにお近付きになれてねえのに」

「ふらっと来たおまえに、そうやすやすと会わせてたまるか!」


「……え? だって、奏太……」


「気安く総長の名を呼ぶんじゃねえ!」
「オラ! いいからとっとと帰れ!」


少年たちはあたしを出口へと引っ張ってゆく。


「……ねえ、あたし奏太に……」


「……しつけーぞ!」
「呼び捨てすんな!」


「……だって……」

すると、


「……どうした。騒がしい……」


こちらに近付く男の姿。


……あ。


バチ! と奏太と目が合った。


「……すっ、すみませんっ!」
「……変な女が入り込んでて!」
「すぐに追い出しますんでっ!」


少年たちはさらに強くあたしを引っ張る。


「待てっ!」


すぐに奏太が制止した。
素早くあたしを少年たちから引き離す。


「「……⁉︎」」
「「……あの?」」


「……美空っ! おまえっ!」


焦ったような奏太の顔。


「……今、みくって……」
「……ま、まさかっ……!」


「「コイツが例のっ⁉︎」」
「「 伝説の女っ! 天使美空っ⁉︎」」


アワアワと、少年たちは腰を抜かした。
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