SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし

「……っ、 」


奏太の視線がつい立てとあたしとを往復する。

そのうち、


「……そうか。なるほど……」


つぶやくようにそう言って、再びあたしと向き合った。


「なあ、バリアーが使えるなら、何故この間はあんなケガをしたんだ」


……?

驚きの表情から一転、意外にも冷静なその態度。


「……あ〜、不安定。よく使えなくなる」


「なんだそれは」


「プラスとマイナスだから複雑なんだ」


「……は?」


「よく、分からない」


「……ハァ。 要するに、あの時は不安定でバリアーが使えなかった。だからおまえはケガをしたと……」


「うん」


「じゃあ、そのケガが跡形もなく消えているのは何故だ」


「黒木が治した。ケガや病気はすぐ治せる」


「……そいつも超能力者か」


「うん。ヒーラーなんだ」


「…………」


奏太は少し目を伏せる。


「……結構いたんだな、他にも……」


ボソッと小さくつぶやいた。


「……?」


「……で、お前ら一体何してるんだ。その超能力を使って」


「……うん?」


「つっても、だいたいの検討はついているがな。昨日のお前の行動を見ていれば……」


「……え?」


「人助けみてえな事してんだろ? お前の霊感……ESPってのとバリアーがあれば向かうところ敵なしだもんな」


「……あ〜、」


「だが、何の為にだ。お前のただの自己満足か?」


……自己満足?


「……分からない。でも、しるしが右手で天狗で呼ぶんだ。それがあたしの役目なんだ」


「……は?」


「困ってるのはほっとけない。だからあたし、いっぱい助ける」


「…………」


奏太は少し沈黙する。


「……ああ、そういやおまえ、戦隊ヒーローが好きなんだったな。やってる事、まさに正義の味方のヒーローじゃねえか」


思い出したように “ フッ ” と息を吐き出した。
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