SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし
「ねえ、このあいだ言った事はちゃんと覚えてるんでしょうね?」
ゲームをしながらサヤがあたしに聞いてくる。
……?
「なんだっけ?」
「……ハァ。 アンタってほんとバカ!」
「……ごめん……」
「まあいいわ。もう一度ちゃんと頭に叩き込んで!」
手を止め、サヤはこっちを見た。
「いい? 本当の私のこの姿、絶対誰にも喋んないでよ!」
「…………」
「アンタも見たでしょ? 二人のあの嬉しそうな顔……二人は私の事が大好きなの。ガッカリさせたらかわいそうだわ」
「……かわいそう?」
「そうよ! 私はね、二人の為に素直でカワイイ従順キャラを演じているの! その方が二人は喜ぶから! もしバレたら全部アンタのせいだからね! アンタのせいで二人はとっても悲しくなるのよ!」
「……悲しい……」
「アンタだって二人の悲しむ顔、見たくないでしょう?」
「……うん」
「だったら余計な事は喋らないで! 他の誰にも絶対よ!」
「……わかった……」
あたしは素直に頷いた。
「……ああ、それと、もう変な嘘もやめてよね!」
「うそ?」
「アンタが能力者と闘ってるって言った事!」
「あれは嘘じゃ——」
「私の命令は絶対! ……でしょ?」
「……う、ん……」
「いい? そういう事、二人にも絶対言わないで!」
「……え、」
「二人の手を煩わせたいの⁉︎ 変な事を言って困らせるのだけはやめて!」
……困らせる……
「……わかった……」
あたしはぐうっと視線を落とした。