SignⅠ〜天狗のしるしと世界とあたし


「………… 」


『 私だって、お兄ちゃんは私の自慢のお兄ちゃんなんだから。 それに、怪我や病気の人を助けてるお兄ちゃん最高にかっこいい! こんなにかっこいいお兄ちゃん、世界中どこ探したっていないもん! その姿、いつまでも私に見せていてよ! 私、いつもお兄ちゃんの事、そばで見守ってるんだから!』


「……麻里…… 」


さっきまで怒っていた麻里の顔が、おだやかな表情へと変わる。



『……はあ~。私、こうしてまたお兄ちゃんと話せて良かったぁ。 私、お兄ちゃんが大好きだよ! お兄ちゃんと暮らした15年間、私はいつも幸せだった。 本当に、本当に、ありがとう 』


「……っ!」


オレの目から涙がバラバラこぼれ落ちた。

オレの中で固く身を潜めてた、後悔、悲しみ、自己嫌悪、もろもろのわだかまりが、サアーッと涙と一緒に流れていった。



「……麻里。オレも、オレの方こそ……幸せだった。あり……がとう 」


麻里が微笑む……


ああ、やっと笑ってくれた。


オレはもう一度、その笑顔が見たかったんだ!


「 麻里!!」


オレは麻里を抱きしめる。


強い西日が余計にオレを熱くさせて、


強く、強く、この小さな体を抱きしめていた……
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