ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
#レトside
僕が6歳になる年、今から10年前の温かく晴れた春。
かっこよくて、可愛いヒーローに出会った。
そのころは、『普段の姿』を1時間だけ変えることができた。
普段の姿というのは、狼そのままの姿。
頭の耳としっぽは残るけど、憧れの人間の姿に変えられた。
人間は綺麗で頭が良い。いつも楽しそうだし、周りの環境も僕はすごく好きだった。
たった1時間で元に戻ってしまうから、こっちに来ては楽しそうに遊ぶ子どもを陰に隠れて見ていた。
もちろん僕も一緒に遊びたかった。
でも、分かってる。人間は僕たち狼は気味が悪いし恐れていることを。