ヒーロープリンセスと溺愛オオカミ
#レトside

僕が6歳になる年、今から10年前の温かく晴れた春。



かっこよくて、可愛いヒーローに出会った。




そのころは、『普段の姿』を1時間だけ変えることができた。



普段の姿というのは、狼そのままの姿。



頭の耳としっぽは残るけど、憧れの人間の姿に変えられた。



人間は綺麗で頭が良い。いつも楽しそうだし、周りの環境も僕はすごく好きだった。



たった1時間で元に戻ってしまうから、こっちに来ては楽しそうに遊ぶ子どもを陰に隠れて見ていた。



もちろん僕も一緒に遊びたかった。



でも、分かってる。人間は僕たち狼は気味が悪いし恐れていることを。
< 7 / 374 >

この作品をシェア

pagetop