そして僕は君に囁く
「ここ、いいですか?」
「えぇ。どうぞ。」
やっと念願の師匠の隣に来れた。
「たくさん飲んだ?」
「はい。もう飲めません。」
ほろ酔い加減の師匠は、いつも通り全くおしゃれをしていない。なのに、会社にいるときとは違ってめちゃくちゃ色っぽい。そんな警戒心ゼロの表情をされたら、抱きしめたくなっちゃいますよ。
師匠は想像もしてないと思いますけど、今日は僕、相当の覚悟でここへ来ているんですからね。
僕は少しひねった言葉を使った。
「でも、食べれますよ。」
「うわぁ若いね。まだ食べる?」
「はい。胃に入るモノ以外なら。」
案の定、師匠は意味が分からなかったようで、一瞬きょとんとしてから呆れて笑った。その笑顔で僕は決めた。言おう。
僕は彼女の耳元で囁いた。
「今晩俺に、口説かれてくれませんか?
食べたいんですよ、あなたを。」
それを聞いた師匠の、驚いた顔ったら……。
好きです。
ーfinー


