心外だな-だって世界はこんなにも-





「七原さーん。七原聡さーん。採血させてくださいね。」



「あ、はーい。ほら、聡ちゃん!」



看護婦がやってきて、母さんは俺の肩を乱暴に揺すった。そんな母さんを無視して本を読み進めていると、スッと本を取り上げられてしまった。



しおりを挟んでいない。俺は深いため息をついて観念した。



採血。簡単に言うと、注射器で血を抜かれることだ。



別に注射が嫌いなわけではない。何なら、針が刺さっていく瞬間を凝視しても、何も思わない。このため息は、うんざりのため息だ。



これで何日目だと思っているんだ? もう5日目だぞ? 朝起きてすぐに血を取られる生活を5日も続けていたら、そりゃうんざりもする。




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