心外だな-だって世界はこんなにも-





例の痛み止めの点滴が効いてくれたおかげで、夜もぐっすり眠れたし、腹痛もなくなったが、トイレの回数だけは減ってはくれなかった。



点滴台を転がしながら、まだふらつく足で廊下を歩いてトイレまで行く。いっそのこと、ベッドの横にポータブル式のトイレでも置いてほしいものだ。



で、トイレから帰ってくると、いつものように看護婦がやって来て、採血をしていく。



「おトイレ、血は混じってましたか?」



「まあ、はい。」



「便器が染まるくらい? それともペーパーに付くくらい?」



「染まるくらいですかね。」



「そっかー……。」



看護婦は何やらパソコンでカタカタ。マウスを右手で持ってカチカチ。この看護婦は、仕事ができない。仕事ができる人は、マウスを必ず利き手とは逆の手で操作する。



「それじゃあ、また来ますね。何か変わったことがあったらまた言ってください。」



いっそのこと、前髪をぱっつんにして、「髪型が変わったんですが。」とナースコールしてやろうか。けど、ここにはハサミがない。イライラする。




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