心外だな-だって世界はこんなにも-





腹痛は治まってはいたが、入院生活全体として見ても、調子のいい日とは言えない。



だからと言って、ベッドに横になることは許されない。俺の入院生活は、前田祭という紺色のカーディガンを羽織った少女に支配されているのだ。



そして、今日もいつものようにトイレを済ませて、点滴台を転がしながら待ち合わせ場所であるベンチに向かう。



祭はもう既に来ていて、俺の顔を見るなり、「遅いー!」と叫んだ。



「悪い。トイレ行ってた。」



「そんなの言い訳にならない!」



珍しく祭は正論だった。確かに、遅刻の理由をトイレのせいにして通るわけがない。しかし……いやいや待て。待ち合わせ時間なんて決まっていない。



「今日はね、時間ないんだから早く集まろうって言ったじゃん!」



言ってない。一言も。



「で、今日は何をするんだ?」



すると祭は、「待ってました!」と言わんばかりに、意気揚々とベンチの上に立ち、それから俺に向かって指をさす。失礼だ。




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