彼の瞳に独占されています
昔からそう。淳一はなんだかんだ言って、いつも私を励ましてくれる。それがすごく心地良いし、嬉しい。

だから、何かあるたびにこうやって甘えてしまうんだ。淳一にとっては迷惑かもしれないけれど。


「……ありがとね」


素直にぽつりと呟くと、『何だってー?』と、素っ気ない声が返ってきた。

……嘘つき。絶対聞こえてたくせに。

私は口を尖らせ、照れ隠しでさっきとは違うことを口にする。


「おバカさんは余計だって言ったの」

『いや重要だから』


あっさりと返されたものの、怒る気はまったく湧かず、むしろ笑ってしまった。

すると、電話の向こうでひとつ息を吐いた彼が、落ち着いた声で言う。


『……俺はいつもお前の味方だよ。昔からそうなんだから、今さら礼なんていらねぇ』


──きゅっ、と胸が締めつけられた。

こんな私に親身になってくれる淳一は、本当にかけがえのない存在だよ。大切な、親友。

さっきまで刺々しかった心が丸くなるのを感じながらも、口では茶化してしまう。


「やっぱり聞こえてたんじゃん」

『さて、夜勤行ってくるかなー』

「おい」


ゆるいやり取りをしてお互いに笑い合い、ようやく美味しさを感じられてきたビールを喉に流した。

“ありがとう”と、心の中でもう一度伝えながら。




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