ポプリ
 やがて。

「……勘違い」

 リィは少しだけ頬を染めて、そっと娘の手を離した。

「うん」

 えへへ、と花龍は笑った。

「……ごめんね? 花龍は悪いことしていないのに、お説教しちゃって……」

「ううん、いいの。紅葉ともちゃんとお話出来るようにがんばるね」

「うん。でもいくらヴラド先生に贈るからって、クッキーに血は入れちゃ駄目……」

「そ、そうかな、駄目かな」

「衛生的によくない……」

「そっか、そうだよね、先生がお腹壊したら困るし……」

「うん。隠し味に入れるのは、愛情が一番だよ」

 母の言葉に、花龍は目を輝かせた。

 そうか、愛情か。

 それなら痛くもないし、傷もつかないし、際限なくたっぷり入れてあげられる。

 花龍は母に礼を言うと、ヴラド専用のガーリッククッキーを鼻歌交じりに作り始めた。











 血入りの手作りクッキーなんて、絶対に作ってはいけませんよ……。不潔極まりないです。それ以上に恐ろしいです……!




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