ポプリ
天神学園に編入したティーダは、橘龍一郎について色々と誤解をしていたことが判明し、大いに反省することになった。
その数日後。
挨拶をするために再び橘邸を訪れた。
広々としたイングリッシュガーデンを突っ切るようにして歩いていくと、城のような大豪邸の前にメイドさんが数名立っていて、恭しく頭を下げながら両開きの玄関を開けてくれた。
すると。
ジャジャーン! ジャジャジャジャーン!
と、オーケストラの壮大で華麗なBGMが聞こえてきた。……いや、聞こえてきたと錯覚した。
玄関ホールの正面に伸びる階段には大勢のメイドたちが並び、ティーダが屋敷に踏み込んだ瞬間に一斉に頭を下げられたのだ。
それだけではない。
メイドさんたちに傅かれて階段を下りてきたのは、真っ白なタキシードを着て、背中に孔雀のように色鮮やかな羽を背負った美少年だった。
ティーダはごしごしと目を擦った。
再び少年を見上げた時には、色鮮やかな羽の幻影は消えていた。白のタキシードではなく、白いセーターに紺のスラックス姿の、麗しい美少年がいるだけだった。
「やあ、待っていたよティーダ」
少年が横に流された長めの前髪を、細い指先で耳へとかけた。すると、その動きに合わせてシャラシャラシャラとウインドチャイムの軽やかな音が響いた。……幻聴だ。
「先日は失礼をしたね。君のような可愛い子が訪ねてきてくれたというのに、ボクときたら君との出会いのチャンスを逃してしまうなんて。思わず運命の女神を呪いたくなったよ」
階段を下りきってティーダの前に立った少年は、微笑みながら自然な動作でティーダの顎に手を添えた。
その数日後。
挨拶をするために再び橘邸を訪れた。
広々としたイングリッシュガーデンを突っ切るようにして歩いていくと、城のような大豪邸の前にメイドさんが数名立っていて、恭しく頭を下げながら両開きの玄関を開けてくれた。
すると。
ジャジャーン! ジャジャジャジャーン!
と、オーケストラの壮大で華麗なBGMが聞こえてきた。……いや、聞こえてきたと錯覚した。
玄関ホールの正面に伸びる階段には大勢のメイドたちが並び、ティーダが屋敷に踏み込んだ瞬間に一斉に頭を下げられたのだ。
それだけではない。
メイドさんたちに傅かれて階段を下りてきたのは、真っ白なタキシードを着て、背中に孔雀のように色鮮やかな羽を背負った美少年だった。
ティーダはごしごしと目を擦った。
再び少年を見上げた時には、色鮮やかな羽の幻影は消えていた。白のタキシードではなく、白いセーターに紺のスラックス姿の、麗しい美少年がいるだけだった。
「やあ、待っていたよティーダ」
少年が横に流された長めの前髪を、細い指先で耳へとかけた。すると、その動きに合わせてシャラシャラシャラとウインドチャイムの軽やかな音が響いた。……幻聴だ。
「先日は失礼をしたね。君のような可愛い子が訪ねてきてくれたというのに、ボクときたら君との出会いのチャンスを逃してしまうなんて。思わず運命の女神を呪いたくなったよ」
階段を下りきってティーダの前に立った少年は、微笑みながら自然な動作でティーダの顎に手を添えた。