雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「一年だって言うんなら、しらみ潰しに各教室回ってくか?」


「そうしたいのはやまやまだけど」


「なら諦めて、そこらへんの女で手ぇ打つ?」


「ざっけんな! そうはいかねんだよっ」


 そこらへんの女でいいなら良かったのに――新太はそんな風に思う。あの日から、眼帯をした彼女の事ばかり考えている。もう一度会いたい。会って声を聞きたい。


「言っとくけどお前ら、あんま騒ぐなよ? 他の客に迷惑かけたら出禁だからな」


 ファミレスに着いて、店の前で振り返った帆鷹が全員に釘を刺す。


「わーってるって!」


「ドリンクバーで粘るだけだし」


「店に迷惑かけねーから」


 新太以外の三人が口々に言ったが、帆鷹は「どーだか」と言い捨て、さっさと店内に入っていった。
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