雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「何が?」


「『何が?』って、受験勉強だよ」


「そんな事言ったら、江坂だってそうじゃん」


「俺は勉強なんてしなくても、それなりに大丈夫だから?」


 ジョークまじりに笑う悠李に、那子は恨めしい眼差しを向けた。


「それ、遠回しにバカにしてんの?」


「バカにしてるんじゃなくて、心配してんの」


 悠李が言うと、どうしてか胡散臭い。同じセリフを律樹に言われたなら信用も出来るのに……。そこでふと律樹の事を思い浮かべる那子がいた。
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