雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 禁煙席のボックスシートに腰掛けるなり、穂香は店内をキョロキョロ見回して落ち着かない。


「ドリンクバーでいい?」


「うん」


 千咲希の問い掛けにも、心ここにあらずな穂香だったが、急に一点を見つめて動かなくなった。


「穂香……? あっ」


「いらっしゃいませ……って、お前らかよ」


 オーダーを取りに来たのは帆鷹だった。


「お前らかよって失礼な! お客様だよ?」


 そう言いながらも、穂香の顔が緩んでいるのを千咲希は見逃さなかった。
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