雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 十七時半にコンビニで待ち合わせ。那子はもう何度もLINEの画面を確認していた。十七時過ぎに到着してしまったので、律樹はまだ来ていない。

 瞳子の美容室で、浴衣とヘアセットをしてもらい、うっすらとメイクも施している。水色に花柄の浴衣に淡い紫の帯。ハーフアップにした髪には花かんざし。

 おかしくないかな……? 律樹は何と言うだろうか。緊張しながら待っていると「桜川」と声がして顔を上げた。


「あ……」


「お待たせ。早かったんだな」


 紺色の浴衣姿の律樹が立っていた。那子はドキドキして、目を逸してしまう。
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