雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 花火大会の帰り道。


「もう! お兄ちゃんってば、どこに行っちゃったの!?」


 律樹達を途中で見失ってしまった萌果が、ふくれっ面で口を尖らす。


「律樹の事だから、家に送ったらそのまま帰るだろ」


 呑気な悠李に、萌果は更に苛立ちを募らせた。


「そんな事言って、何かあったら、悠李責任取ってくれんの!?」


「『責任』って……」


 オウム返ししながら、いったい何をどう取ればいいのかと、悠李は苦笑する。
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