雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「あ、そうだ。名前、なんて言うの?」


 いきなり話題を変えられ、功は「はぁ?」と面食らった。


「名前。教えてよ?」


「高井田功」


「コウって、どんな字書くの?」


「カタカナのエにカ」


「あーね。オッケー。功ね」


 調子狂うな……と内心呟きながらも、功は夏成実の新たな一面を垣間見て興味が湧いてきた。


「じゃ、付き合ってくれてありがと。アタシ帰るね」


「えっ?」


 これからカフェでお茶でも、と思っていた功は肩透かしを食らった気分になる。


「いい気分転換になったー。じゃ、また学校でね!」


 夏成実はヒラヒラと手を振り、軽やかな足取りで歩いて行ってしまった。
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