雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 もっともらしい理屈をつけつつ、悠李はスマホを片手操作しながら、那子の携帯番号を登録して言った。


「お互い携番知ってたら、LINEでも繋がれるし?」


 と、同時に、消音にしていた那子のスマホが振動する。

 見れば、悠里からのLINE通知で。

≪よろ~♪≫

 なんて、いかにも軽々しいトークが届いていた。


「明日、十時出勤で宜しく。店長にも俺からそう言っとく」


 言い逃げもいいところで、悠李は「じゃあ」と片手をあげると、那子を残して仕事に戻って行った。

 そのまま座っているわけにもいかず、那子は出入り口に向かう。レジに立っていた先ほどの女性スタッフに会釈して、那子はファミレスを後にした。
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