雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
 驚きで目を見開く那子以外は皆、苦虫を噛み潰したような顔をしている。


「……うっざ。行こ」


 リーダー的女子が捨て台詞を吐くと、グループはぞろぞろと退散して行った。結果、その場に残されたのは、那子と夏成実。


「あんな事言っちゃって……大丈夫?」


 意外にも、先に声を掛けたのは那子だった。


「大丈夫じゃないけど、ホントの事だし?」


 おどけた夏成実に、那子が小さく吹き出す。


「桜川さんも笑うんだね?」


「笑うよ。笑いたくない人の前で笑わないだけ」


「あ、そういうのアタシもちょっとわかる。ってゆーか、こりゃぼっち飯確定だなぁ……」


「付き合うよ? ……っていうか、アタシで良ければだけど」


「えっ!? いいの!? ホントに!?」


「守口さんぼっちにしたの、アタシのせいだし」


「違うよ。アタシが息苦しかっただけ。逆に言いたい事言えて感謝してる」


 夏成実の言葉に、二人は顔を見合わせると、どちらからともなく笑い合った。
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