雨虹~傘を持たない僕達は果てない空に雨上がりの虹を見た~
「うわっ」


 それを見て功も思わず声が出た。匡はしゃがんだまま、萌果に背を向け、自分のリュックを下ろした。


「ほら」


「え?」


「そんなんじゃ歩けないだろ」


「い、いいよ! 大丈夫だから」


「あんまり遅いと、俺達が迷惑だから。早く」


 ぶっきらぼうな物言いに、萌果も黙ってしまう。伊万里も頷いているので、仕方なく萌果は、匡の言うことをきく事にした。


「功、これ頼む」


「えー、俺?」


「平野に持たせる気か?」


「しゃーねーな」


 差し出された匡のリュックを功が持つと、伊万里はとりあえず、頭を下げる。


「いいって」


 何て事ない口調で言いながら、功は伊万里に「行くぞ」と促した。
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