隣に住むのは『ピー…』な上司
あれこれ考え過ぎて尻込みする。

そろそろ課長が戻ってくるはずだと思うと、余計に気持ちがソワソワしだす。



「あれ……?」


課長ってばまだ下にいたんだ。
てっきり中へ入ったと思ってたのに。


「何してるの?あんな所で」


マンションの前に並ぶ車と車の隙間。
課長の自家用車の横で、一緒に話している人はーー。



(まさか、さっきの美人……?)


ベージュ系のワンピースだったから間違いない。

クルクル巻かれたセミロングの髪の毛もさっき見た人と同じ。



(課長の知り合いだったんだ)


帰りを待つなんて意味深。


(一体どんな関係の人だろう……?)


考えながら覗き込んでいたけれど、これってシット深い行動よね。


「気にしないでおこう。私は晩ご飯を作ろう!」


なんちゃって料理が得意な私。
今日は麻婆豆腐にするつもりです。


(課長が来たら「どうぞ」と勧めてみよう。美味しいと言ってくれるといいけど……)


ウキウキしながらキッチンに立った。

でも、その夜、課長は部屋に来なかった。

それどころか、翌朝はベランダでも姿を見なくて。



(……寝坊でもしてる?)


電話をかけてみようかとも思いました。
でも、お疲れで寝てるのなら可哀想な気がして止めた。



(いいや。オフィスへ行けば会えるし)


最近は切り返しが上手くなったな…と感心する。
課長と付き合いだして、笑うことが増えたせいかもしれません。


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