隣に住むのは『ピー…』な上司
「藍がいい」


熱い息が髪の毛にかかってゾクッとした。
イヤなわけじゃなく、課長の色気を感じてしまった。



「じょ…冗談はやめて下さい!」


ここはオフィス。
誰の耳に入るかわからない。


「冗談じゃない。俺はずっと藍が欲しいって言ってる。拒むのは藍だ。今朝だっておかしかった。
どうしてピーチを預かるのが気に入らない?久しぶりに声が聞けて、嬉しそうにしてたじゃないか」


話してみろ…と振り向かされた。
オフィスなのに、そんなプライベートを話してもいいのだろうか。


迷うような眼差しを向けました。
マジメな顔をしている課長は、何も言わずに見下ろしていた。


観念して俯く。
課長の目を見ながら話すなんて、今の私にはムリです。


「真由香に聞いたことがあるんです。課長がもなちゃん達とアウトレットモールにいたって。三人で仲睦まじそうに歩いてて、声もかけづらかった…って。実際、私も見たんです。課長があの人と、マンションへ向かうところを……」


課長が息を呑んだ。
その顔を確かめて、目線を上に向けました。


「勘違いをするなと言われたけど、三人はやっぱり家族だと思います。あの人は奥さんに見えるし、もなちゃんは課長の子供です。
ピーチちゃんのことだってそうです。交互に面倒を見るのは接点を増やす為でしょう?
私はそんなのイヤ。心が狭くて自分が一番大嫌いだけど認めたくない。

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