君がうたう七つの子

幽霊少女のいない時間

幽霊少女であるレイと別れてからはや三日。

僕はもはや習慣化していた昼過ぎに土手へと行くことはなく、家にこもって絵を描き続けていた。

日が暮れ始めると外へ行き、まずは土手に向かいレイを探す。

それから、適当な所に赴いてはレイがいないかと見まわすが、レイの影――はないからあの淡い光すら目の端に捉えることはできなかった。

せめてレイの家でもわかればいいのだが、そのヒントとなるものは何一つ持っていない僕には探し出すことは出来ない。

何しろレイの苗字すら知らないのだから、救いようがない。

あるのは”レイ”と言う名前と、彼女と過ごした少しの、だけど僕の中では大きな存在の思い出だけだ。

そう。考えるまでもなく、僕は彼女の事をよく知らない。

知ろうとしなかったことが、いつか知る時が来るだろうと、高をくくっていた分が、今こうしてツケとして回ってきているのだから、世界はよくできている。

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