君がうたう七つの子
君がうたう七つの子
僕はかつてレイと過ごした日々を思い出しながら、カラスの歌をうたう。

彼女のように綺麗に歌うことも、音をうまく外すこともできないけれど、それでも歌う。

歌い終わって、ススキを置いたレイのほうへ一礼。

彼女は拍手をくれるだろうか。

もしかしたら、下手くそなんて言って、笑うかもしれない。

でも、それも彼女らしいと思う。

素直なようで、天邪鬼なところがあるから。

僕は少し笑って、彼女に語り掛ける。

「レイ、久しぶり―――と言っても、定期的に来ているけれど。

クラスのみんなも、君の友人も僕がここに来るのは特例だとか言ってたのに、いまだにここに来るとずるいとかいって煩いんだ。

まったく、困った人たちだよ。

もうすっかり秋になって、受験一色になっているのに、目ざといんだよね。

誰かが僕をここで見かけたら、次の日には全員に知れ渡っているんだ。

その行動力を勉強にも生かせばいいのに。

まぁ、でも、例年よりもみんな気合が入っているらしくて、生徒も先生も燃えてるよ。

そこは、見直すべき点かな。

それに、僕もうかうかしていられないんだ。

レイの行きたがっていた高校を受験すると決めたのは良いんだけど、今年はライバルが多いらしいから、少しは身をいれないと、蹴り落されちゃうよ。

それだけはごめんだから、頑張るけどね」

肩を落として言う僕に、声はかけられない。

当然だけど。

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