君がうたう七つの子
そして僕は本題に入る。

レイがきっと心配している事。

「それとレイのお母さん。

少しずつではあるけれど、持ち直しているよ。

僕がたまに描いた絵を持っていくとすごく喜んでくれるんだ。

勿論、レイの絵も入ってるよ。

肖像権の侵害だ!とか言わないでね。

最初に、レイとは取引しているんだから問題ないでしょ」

あれから、レイの家には何度かお邪魔している。

レイにお線香をあげるというのもあるけど、レイの両親の様子を見るためでもある。

首を突っ込んだ以上、最後まで見届ける責任はあるし、心配でもあるから。

その度に持っていく絵を、彼らは楽しみにしてくれているのだが、どうしても見せられない、見せてあげることができない光景があった。


それは、レイが土手の木の下でまどろんでいた姿

花火大会の時の、花火とレイの姿

あの二つだけは、頭に残っているのに、どうしても描くことができなかった。

今の僕の実力では、あれは描くことができない。

だから、最終目標としては、あの世界をキャンバスに映し出すことだけれども、何年先になることやら。

でも、何年かかったとしても、僕は諦めない。

だって、あの神秘的で、幻想的な世界を僕だけのものにするのは勿体ないじゃないか。

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