君がうたう七つの子
先程感じたモヤモヤが怒りに姿を変え、それに身を任せて立ち上がろうとしたその時

彼女が歌う七つの子が聞こえた。

一拍おいてふるさとも流れる。

気づけば、僕の隣を通り過ぎていた親子は、土手の上を二人仲良く手をつないで歩いていた。

母親は、先ほどの子供の言葉について叱っているようだ。

「やぁ、こんにちは、かな?」

七つの子を途中でやめた彼女が笑いながら挨拶をして、もはや定位置になっている僕の斜め前に座る。

まだ先程の感情が燻っていた僕は、ぼんやりしながら彼女を見つめる。

「おーい。聞こえてる?見えてる?」

彼女はいつの日かと同じように目の前で手を左右に振っている。

「あぁ、うん。こんにちは」

意識をなんとか自分の支配下に戻した後、僕は立ち上がりかけていた腰をおろして、彼女の挨拶にこたえる。
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